夕焼け色の可憐な花だけど、他人に一切容赦なし!
ナガミヒナゲシ
ナガミヒナゲシ
ケシ科 ケシ属

2018.4.18
夕陽のようなオレンジ色が印象的なナガミヒナゲシ。
あたたかい炎のような色合いにはうっとりさせられます。

2018.4.24 キレイな花色に惹かれます。根元の方の色がより濃い、グラデーションが魅力的


2018.4.21 花弁の数は、通常4枚です。

2018.4.21 花と、花後の「さく果」。果実の中には細かい種がいっぱいつまっています!
漢字で書くと「長実雛罌粟」。
長実とは、縦長のさく果を指します。
「ヒナゲシに似た、長い実を付ける花」というのが、名前の由来です。
ちなみに、ヒナゲシ(下記参照)のさく花は、もっと丸くてずんぐりした感じ。

2018.4.5 細長い実だから、「長実」ヒナゲシ。
とても強い植物で、ほんの少しのすき間からも芽を出し、咲いた花は、例え小さくてもしっかりと種を作ります。
さく果の中には、種がびっしり。
1600個も入っていることがあるそうです

梅雨時に、フタが開くように所々裂けた実が風に揺れて、種をこぼします。
発芽率が高く、未熟な種でも発芽するほどです。
圧倒的な種数と発芽率の高さが、旺盛な繁殖力につながっています。
1961年に東京都世田谷区で初めて確認されて以降、急速に全国に分布を広げています。

2018.4.18 つぼみの時は、下を向いています。 (世田谷区にて)

2018.4.8 ナガミヒナゲシの葉。細かく切れ込み、毛が生えています。
葉と根からは、アレロパシーと言って、周囲の植物の生育を阻害する物質を出しているそうです。
繁殖力が強いだけでなく、他の植物が育つ邪魔をも積極的に行っているのです。
風に揺れる薄い花びらは可憐だけど、、、子孫を残すことには、手加減一切なし!
生きることに貪欲な、猛烈・苛烈な花なのです!!
強い


ヒナゲシとポピーの違い
ところで。
「ヒナゲシ」ってどんな花?
ポピーの事なの??
ポピーとは
実はケシ科ケシ属の花の総称が「ポピー」。
ナガミヒナゲシも、アヘンの原料となるケシも、花屋で見かけるポピーも、この中に含まれます。
切り花のアイスランドポピー
通常「ポピー」と呼ばれている、花屋で切り花として売っている花は、正確には「アイスランドポピー(シベリアポピー)」という品種。
株元から伸びた花柄の先端に、花を1つ付けること、1株から次々に花柄を伸ばすこと、花が日持ちすることから、切り花として重宝され、栽培されています。
白、貴、オレンジと花色はバラエティに富み、比較的淡い色合いが多いのが特徴です。
春先(3~5月)に観光農園でこの花のつぼみを10本いくら、と「ポピー狩り」された方も多いのではないでしょうか?
この「アイスランドポピー」は英名で、和名では「シベリアポピー」が正式な名称ですが、現在ではほぼそう呼ばれることはなく、「アイスランドポピー」が一般的な名称です。
花壇で栽培されるヒナゲシ(シャーレ―ポピー)
もう一つ、「ポピー」と呼ばれている花が「ヒナゲシ」です。
「シャーレ―ポピー」と呼ばれる品種で、同じくケシ属の栽培品種ですが、アイスランドポピーと異なり、葉の付いた茎を枝分かれさせて花をつけることで見分けることができます。
切り花よりも、花壇の花として栽培されることがほとんどで、アイスランドポピーよりも少し遅れて、5月~6月に見頃を迎えます。
花色は、赤や濃桃等、アイスランドポピーに比べると色濃く、色鮮やかです。
ニュースで「観光地で、ポピーの赤い花が見頃を迎えました」と紹介されるのは、大概このヒナゲシ(シャーレ―ポピー)です。
虞美人草、コクリコとも呼ばれます。
夏目漱石の「虞美人草」はヒナゲシのことだったんですね。
スタジオジブリの映画「コクリコ坂から」のコクリコは、ヒナゲシのフランス語です。
とはいえ、ポピーにしても、ヒナゲシにしても、混同されて呼ばれていることも多いようですけどね。
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